top of page

6-choreographers interview

ユニユニ振付家対談1

平澤智 木下菜津子 山本崇史 打越麗子 yasco 大塚幸太

本記事は2017年に公演された「メモリアポコ」パンフレットに記載されました。

大塚 「今回、振付して難しかったって思うことは何ですか?じゃ、レイちゃんから。」

 

打越 「え?私から?・・・そうね。やっぱり中から動くってことかな」

 

大塚 「というのは?」

 

打越 「振付を覚えて動くだけじゃなくて、それ以上を高く求めてたから。『言われた事をやってるのに』って困惑した子も少なくないと思う」

 

大塚 「振付をちゃんと体に入れて、見かけだけじゃなくて、ちゃんと身体表現するってことね?」

 

平澤 「そうなんだよね。振付そのものは特に難しくないんだけど、まだやっぱり身体が出来てないから、動いた時に引き上がってないというか、

    ワイワイしちゃって。もっとクリアにして見せるのって難しいのかね」

 

山本 「踊らされているんじゃなくて、ちゃんと踊る!ってことですね」

 

大塚 「子供って覚えたら出来たことにしちゃうんだよね。レイちゃんの言うように中から動くってことはなかなか理解できないんだと思う。     

    それに、たかしくんの振付のジャンルって、特にこの世界の子達は不慣れだから、ダウンのリズム取りも出来てなかったね」

 

山本 「そうなんですよ。ミュージカルの子供は鉄板が入ってますから」

 

大塚 「(笑)出た鉄板!背中に鉄板ね」

 

平澤 「硬いよね。ストリート系はもっと楽じゃないと」

 

yasco  「音楽やリズムを感じないと出来ませんからね」

 

大塚 「出来ないとすぐ止めちゃうし」

 

木下 「そう。子供ってすぐ飽きちゃうじゃん。だからいつも子供相手の時はテンポと流れを気にしてやってる。     

    だって、飽きたら直ぐに顔に出て、こっちが傷ついちゃうし(笑)」

大塚 「同感!テンポ感はすごく重要だと思う。俺もなるべく簡潔に説明して、ドンドンやらす。説明長くてテンポ感が悪いのは、もし俺が     

    受ける側だったら飽きちゃうわ(笑)なっちゃんはハロプロとかモー娘。とか沢山のアイドル達にも振付してるけど、比べてどう?

 

木下 「そうね。やっぱり「これはお仕事だ」と言う意識が高いから、休憩の仕方や、周りのスタッフとの関わり方とかは全然違うと思う」

 

大塚 「休憩の仕方・・・耳が痛い。同じように仕事の現場でもほぼカオスだよ」

 

木下 「でもその分、今回はそれぞれの創造性や自主性がとても純粋で楽しかったよ」

 

大塚 「そうね。今回は年齢層も高かったっていうのもあるけど、自主性が高かった。単に『楽しい!ワーイ!』じゃなくて、     

    みんながしっかり向き合ってたね」

 

山本 「そうですね。楽しかったですよ。けど、スケジュールがタイトで泣きそうになった41歳のおっさんでした」(一同爆笑)

 

大塚 「ヒラさん、宝塚での振付ってどうなの?」

 

平澤 「宝塚は、振りをバーっと付けたら、もう縦の関係があるからバシッと作り上げてくるね。なんてたって100年の歴史があるから。     

    子供の場合は年齢差があっても横んにお関係だから難しいよね」

 

大塚 「それでもさ、演者がちゃんと次の稽古までにやって持ってくるんでしょ?」

 

平澤 「そうね。次の稽古までには固まったものを見せてくるね」

 

大塚 「そうだよね。それが芸事だと思う。基本的に次の稽古までにはある程度まで持ってくる。子供だけじゃなくて大人でもいるもんな。     

    何もしてないのバレバレなの。その場しのぎ?やってきてる人との差はもう歴然」

 

平澤 「そこからだとまた一苦労だからね」(一同激しく頷く)

 

打越 「でも、子供はスポンジが綺麗ですよね?いい意味でスカスカ(笑)与えれば吸収するし、その速さと多さにワクワクします。     

    だから、自分が描く形にどんどん進化してくれて、ポコじゃないですけど、結晶になっていく感じですね」

 

山本 「よし!やるぞ!のやる気スイッチが入った時には、何ていうか無限の力を感じてドキッとさせられますわ。     

    でも、逆の時はやっぱ子供だなー。そこは残念なんだけど、今からこのスイッチのコントロール覚えたらヤバイですね。めっちゃ伸びそう」

大塚 「コントロールできる子は、やっぱり伸びてますしね」

 

平澤 「今日だって、イブが『春のダンスやりたい!』って言ってきたもん」

 

一同 「おおーーーー!」

 

平澤 「あいつの最近の変化が半端ない!」

 

大塚 「前だったら『無理—!』なのに。すげー」

 

山本 「ビックリですね!ほんと。嬉しいっすね!」

 

大塚 「にしても、みんな簡単に「無理」を使いすぎなんですよね〜」

 

山本 「言います。言います。じゃ、止める?っていうと『嫌だ』って。どっちやねん!!」

 

yasco  「やっぱり思います?今の子供達って一括りにするのはあまり好ましくないけど、すぐに諦めて「無理〜。出来ない〜。疲れた〜。」

    色々なところでこの3ワードを乱用する子が多いですよね?私が子供の頃はこんな言葉知らなかったな。私のクラスでこれを使ったらスタジオから出します」

 

大塚 「俺も3ワードある!「え〜!だって〜!無理〜」俺の場合は無理=0%だから『難しい!』にしろ!って変換させてます」

 

yasco  「素晴らしい!あ。あと体力低下ね。時代や教育のスタイルが変化してるから、昭和の根性論はもう通用しないのは理解してるけど、      

    どちらが良い悪いじゃないけど、バランスが必要だよね」

 

山本 「思うんですけど、振りをつけられると踊れるけど、自由にフリーで踊れる子が少ない!」

 

大塚・平澤 「それな!」

 

他一同 「それな!」

 

山本 「もっと自由に自分発信のダンスを踊れるともっと楽しいよー!って思います」

 

大塚 「ダンスは本来そこにあるんだよな〜。形じゃないと思うし、リズムを感じて身体が勝手に動くことだと思う。 音楽だって「音」を「楽しむ」なんだけど。

    特に今回のタップはそこが出せるといいですよね?」

 

yasco 「ねえ。まあ、やってくれるでしょう」

 

山本 「中学生の時によく見てましたよ!『天才たけしの元気が出るテレビ』の人気コーナー」

 

一同 「ダンス甲子園!」

 

山本 「もう、あれ見て刺激受けて気づけば真似しててクネクネしてました(笑)毎週この番組だけが頼りでしたよ!録画したビデオテープが劣化するまで見て、

    見よう見マネでクネクネに没頭してました!」

 

木下 「わかる〜。今はYouTubeとかで古いものから新しいもの、世界中の素晴らしいダンスをすぐ見れて羨ましいよ!それに作品を発表する手段もたくさんあるし。

    だからこそ、これからの子達は色々なモノに触れて、物怖じせずにダンスや歌、芝居に限らずどんどん表現して欲しいと思う」

 

山本 「ダンススタジオも多くなりましたしね。恵まれた環境にいて、色々な知識にも触れられるし、その豊富な知識を自分のフィルターに通してもっと

    利用した方がいいのにな」

打越 「ただ『好き!』だけで突き進める強さを持って貰いたいですね。やりたいことの道しるべとして、今の情報ははるかに早くて多いですから、

    本気でぶつかれば大きなものが生まれると思いますよ」

 

平澤 「でもさ、これっていつも人のテーマだよな?上(先輩)から同じようなこと言われて、また俺らが下の子達(後輩)に同じように思って、

    この子たちも大人になって下を見てさ」

 

大塚 「その時になって分かる事があるってことですよね?今は分からなくても、5年後、10年後でも良いから、俺たちが伝えようとしている事が分かると良いですね。

    逆に、伝えられなかったら分かるはずもないし、気づくはずもなく。やはり伝えるって大切ですね。「現在」がなければ「未来」はないですからね。

   「今」をどう向き合うかで「明日」も変わりますからね」

 

yasco 「やっぱり向き合い方は重要ね。地味なレッスンも怠らず、しっかり技術を追求して磨く事。でも、技術は表現するための道具でカラダを使って

    様々な感情を発信する為に毎日積み重ねた稽古の成果が「存在感」になって、舞台上でくっきりとした輪郭が浮き上がる。みんなにはそんな演者を目指して欲しい」

 

打越 「それと、また一緒に仕事したいと思われるような人になって欲しい」

 

大塚 「うわ!超激しく共感!これって大切ですよね!」

 

打越 「媚びへつらうのではなくね(笑)この作品にはあなたが必要って思われる存在になれれば、どんな舞台でも輝いていけると思う」

 

大塚 「全くその通りですよね。自分も同じ人間なんで、ちゃんと向き合う人とまた仕事がしたいと思いますよ。どんなに技術や表現力があっても、

    そこがしっかりしていない人とは・・・(苦笑)ね?平さん」

 

平澤 「聞いてるよ。聞いてる。え?俺?」(笑)

 

 

続き

bottom of page